共有名義の不動産 その4

お客様から以下の内容でお問い合わせがありました。

Q:土地は私とA各1/2ずつの共有名義、建物は「区分所有建物」で同じく1/2ずつの権利を有しております。私はその建物に住んでいますが、Aは他者(店舗)に貸している状況です。先日、Aは法人B社に自分の持分を売却したと連絡があり、私に了解も得ないで、非常に困惑しております。後日、法人B社は共有物分割請求で競売にかけられたらお宅は困るでしょう?って言ってきました。今後、どうなるのでしょうか?

これまで、Aさんと共有でお持ちの権利をAさんが突然、売ったことによってご相談者様が困惑するのは当然のことですよね。

法的には相手の了解なく、売却することは何ら問題はありません。

さて、ここからがどうなるのか予想してみます。

①法人B社はご相談者様に残りの持分を売却してくれないか?または買い取ってくれないかと話がくる。

②共有物分割請求にて競売の申し立てを行ってくる。

考えられるのは上記の2種類が想定されます。

特に、注意をしなければならないのはいきなり②を相手方が持ち出し、ご相談者様の持分を手放さそうとすることです。

しかし、ここで冷静に考える必要があります。

法人B社が、競売の申し立てを行い、共有物の解消を本当に望むのでしょうか?

答えは「NO!」です。

なぜなら、法人B社は

①自ら所有となった区分所有建物には店舗との賃貸契約が引き継がれている。

②建物は区分所有であるため、共有物分割請求での競売換価の主張では建物部分は競売対象外となり、土地のみの競売になる。

③土地が第3者の名義になると、建物は借地権は摘要されず、敷地利用権のない建物になるため土地明け渡し建物収去命令の対象となる。

上記の点からすると、建物が収去対象になると法人B社と店舗との間の賃貸契約は「不履行」になり、店舗側から法人B社に対して損害賠償が発生することになります。

店舗の損害賠償となると結構な金額になることが想定され、法人B社はうかつに競売を申し立てを行うことはできないからです。(しかも、その店舗を調べるとかなりの繁盛店)

これは、建物が「区分所有」、「賃貸付」となるから、こういう結末に至ってしまうのです。

従いまして、ご相談者様の取る道は法人B社から「競売」を持ち出してきたのですから、こう言いましょう「困るのはお宅の方でしょう?」っと。^^

6bf862a00462fac02aa702c8adf324fb_s

カテゴリー: 共有名義の不動産 タグ: , , , , パーマリンク

コメントを残す